どこかの本

誰かのお話かもしれません。それが誰なのか、私達は知ったところでどうすることもできないのでつまりそういうことです。

2015-10-10から1日間の記事一覧

不死身の門番

滴る雨も知らず、そこに彼は立っていました。逆さの夕日を写したその瞳、何を見るかはもう誰も知らないことです。廃墟と化した神殿の前、ただ、そこにいます。何も語らぬその口は人形のよう。誰もいなくなった空白の歴史の中、橙色は主の消えた王冠を手に、…