どこかの本

誰かのお話かもしれません。それが誰なのか、私達は知ったところでどうすることもできないのでつまりそういうことです。

2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

夜の鳥

死にかけたコウモリを拾った友人がいた。何をするわけでもなかったが、餌を少し分けて小さな頭を撫でた。コウモリはどんな病気を持っているかなんて分かりゃしないし、そもそも安易に触って良いものではない。それでも友人は静かに撫でた。真剣に、大事に。…

花と彼女

いつででも、彼女は私に花束を差し出した。それはそれは見事な花束だった。優しく目を細め、はにかんで私の前に差し出す彼女はこれで何回目になったのだろうか、それすらも忘れるほどに何度も彼女の笑顔を見ている。優しい色をしたその表情が私と正反対で気…