どこかの本

誰かのお話かもしれません。それが誰なのか、私達は知ったところでどうすることもできないのでつまりそういうことです。

輪廻

「こんな時代に生まれてくるなんて」

国を守るために武器をとれと、お偉い方々が。
国民を守れないで何を守るというのか。
最後の最後まで降伏しなかったのは。
お偉いさんの何を守ったっていうんですか。

戦争を免罪符に同情なんかして、なのに真面目に少しだけ怒ったように眉間にシワを寄せて。


「お国のために死んできなさい」



下唇を噛み締める母の前、皆こう言うのだろう。


「逝って参ります」



散る火に「役立たず」と唾を吐く階級やリボン。
赤い空に屋根の上を飛ぶ鳥へ涙を流して敬礼。


「貴方の元に生まれて、母にそう言われたのなら」


何度生まれ変わろうと、喜んで。






「英雄になってきます」










何度でも、国の戦士となりましょう。