どこかの本

誰かのお話かもしれません。それが誰なのか、私達は知ったところでどうすることもできないのでつまりそういうことです。

「好きな飴をあげる!」

赤い飴と、青い飴と黄色い飴。
どれかひとつだけあげる。
でも、みっつの中で一つだけ、ハズレがあるから注意して選んでね。

「じゃあ、赤い飴を貰おうかな」

はい!と飴を手のひらに乗せた。

「運がいいんだね!」



ハズレよ!

と楽しそうに笑った。


「そりゃあ今日はついてるなぁ」

ハハハと笑う。




でもお嬢さん、

「ハズレを引かせたかったのなら、相手が口に入れてから明かすんだったな」

にやっと笑った大人。


お嬢さんは「ふふ、」と笑った。



「アタリだからよ!」




「なんだ、なんだい、なんなんだお嬢さん!」

ゲラゲラとお腹を抱えた。



「飴を1つ、あげるわ。」




赤い飴ならあたり。
青い飴ならきっとそう。
黄色い飴なら聞くまでもない。





「では、いただこうかな。」




お嬢さんはとても楽しそうに笑った。